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北本自然観察公園 自然観察記録 2005年1月

2005年3月7日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2005年1月29日(土)】
○公園内は冬の装いで木々は葉を落としているものが多く、そんな中でもよく見てみると来るべき春に備えて準備をしている樹木もあります。「冬芽」です。そこで、新企画「公園図鑑」として公園内の代表的な冬芽12種類(サクラ5種類、マテバシイ、コナラ、スタジイ、クヌギ、シラカシ、ハリエンジュ、ハンノキ)を選び、番号札を付けました。そして、展示室内に12種類の冬芽の解説及びマップを掲示しました。「冬芽発見ハンディブック」は受付カウンターで配布しております。マップも貸出しますので、是非冬芽の観察にお出かけください。
○なお、2月13日(日)のいきもの講座では、「冬芽」をとりあげます。事前申込みは不要ですので、こちらも是非ご参加をお待ちしております。

【2005年1月27日(木)】
○センター西側にあるウメの花が目立ってきました。そして、今日そのウメの枝にメジロが止まっているのを見ました。メジロは12cm位の大きさで、スズメよりもかなり小さく、黄緑色(ウグイス色)の可愛い鳥です。目の回りの白い縁取りが特徴です。ウメといえばウグイスを連想してしまいますが、実際はウグイス色のメジロをウグイスと勘違いしている人が案外多いようです。それというのも、メジロは甘い物が好物で、ウメをはじめサクラやツバキなどの花の蜜を吸いに来ることが多いからです。そして、花の蜜が吸い易いようにクチバシはやや下向きに細く尖っていて、舌の先は毛状に分かれています。以前は飼育して良い声で鳴かせることを競ったりしていましたが、現在では捕獲をすることはできませんし、飼育も許可が必要です。

【2005年1月25日(火)】
○センター南側の園路際に、マサキが朱色の実を弾けさせています。庭木や生垣に使用されていてお馴染みのマサキですが、もともとは中国や日本の海岸に自生する常緑低木です。寒さや塩害に強く、耐陰性にも優れ、土地を選ばず生育します。このように環境状況が不良でも植栽可能なため、園芸用に改良され多くの品種が流通しています。6〜7月頃、緑白色の小さな花を付けますが、冬になると球形の仮種皮が3〜5裂し、中から朱色の種子が現れます。初夏の若葉の萌える美しさと清楚な花も良いですが、冬の時期の朱色の実も独特の風情があります。なお、葉は対生し、鋸歯(きょし)があり、雌雄異株です。
  
【2005年1月22日(土)】
○八ッ橋付近で、セグロセキレイを見ました。日本の特産種で体長21cm、北海道から九州に分布する留鳥です。尾を上下に振りながら歩くのが特徴のセキレイの仲間で、背は黒色、腹は白色、嘴は細く黒色、脚は黒色で、白い眉が目立ちます。見かけはハクセキレイに似ていますが、顔が完全に黒色かどうかが見分けのポイントです。主に内陸の湖沼畔や中流以上の河原に棲息し、冬には住宅地や市街地にも現れます。「ジジ、ジジ」と濁った声で鳴き、水辺を歩きながら昆虫などの小動物を捕らえます。近年、ハクセキレイが、分布を広げているのに対し、セグロセキレイは分布を狭めているようです。他に、体の下部が黄色のキセキレイという種類もいます。

【2005年1月20日(木)】
○今日は二十四節季の「大寒」です。意味は、「寒さが最も厳しくなる」ということです。ところで、センターの西側のピラカンサが綺麗な赤い実を付けています。バラ科の常緑低木で、日当たりの良い場所を好んで生育します。原産地はヨーロッパ南部やアジア西部です。枝に鋭い刺を持ち、5月頃に白い花を咲かせます。果実は11月から3月頃まで付けます。赤い実が多いのですが、黄色の実を付けるものもあります。ヒヨドリがこの実を食べによくやってきます。ピラカンサとはギリシア語で、「火のとげ」という意味だそうですが、赤い実と鋭い刺からの命名のようです。

【2005年1月18日(火)】
○今日アシ原で、「冬にやってくる幸せの青い鳥」といわれるルリビタキを見ました。スズメよりやや小さく、メスは背が暗緑褐色で、尾だけ青色と地味ですが、オスは顔、背、尾が鮮やかなルリ色、腹は白色、脇はオレンジ色と非常に派手です。留鳥または漂鳥として、北海道〜四国に分布し、冬はおもに本州中南部以南に移動し、平地から山地の林や公園などで越冬します。エサは、昆虫やクモを主食としますが、冬には木の実も食べます。林の中などの暗い環境を好み、尾を小刻みに震わせる動作が特徴です。オオルリ、コルリと合わせて、ルリ三鳥といわれています。なお、オスが美しいルリ色になるのには、2年以上かかるそうです。

【2005年1月16日(日)】
○高尾の池の氷も溶けて、カモが久しぶりに戻ってきました。昨日、カモの群の中に1羽変わった種類を見つけました。体長50cm位で、一見するとマガモのメスのようですが、ちょつと違うようです。目立たない灰色をしていて、翼鏡(脇の後)が白く、顔も白味がちです。当公園ではあまり見ることの機会がないオカヨシガモのメスのようです。2002年2月にオス1羽の記録がありますが、それ以来の確認です。地味な配色で目立たないカモですが、品があるのでひそかに人気があるようです。一夫一妻で、湖沼、川、池などに棲み、水草や植物の種子などをついばみます。そして、「アッ、アッ、ゲ、ゲ、ゲ」と鳴きます。

【2005年1月14日(金)】
○エドヒガン先の園路際にあるウメが咲き始めました。ウメは1月から4月初めまでの長期にわたり順次咲き、我々の目を楽しませてくれます。ウメには紅白2種類あり、先に咲くのは紅梅の方といわれていますが、当公園のウメは、かって近隣の農家が実を出荷するために植えたものが多く白梅ばかりです。ウメは中国原産で、奈良時代に遣隋使が持ち帰ったといわれています。渡来当時はサクラよりも愛されていたそうですが、平安時代の頃からサクラに人気を奪われたようです。しかし、ウメの花はとても良い香りを放ち、「馥郁(ふくいく)たる梅の香り」という言葉まであります。また、白梅の実からは梅干しが作られ、非常食として用いられるところから、江戸時代には各藩が梅の栽培を奨励し、各地に梅林が作られました。ところで、ウメの花からは、服部嵐雪の「梅一輪 一輪ほどの あたたかさ」の句が連想され、来るべき春の訪れが感じられます。

【2005年1月12日(水)】
○標柱5番先付近で、トラツグミを見たとの情報が届けられました。ツグミの仲間では一番大きいですが、それでも体長30cm位で、ハトよりはやや小さいです。体は黄褐色の地に黒色の横斑や三日月斑があり、トラの模様に似ているところが命名の由来です。また、中央尾羽は暗黄褐色、外側尾羽は先端が白色です。北海道から九州に分布する留鳥で、低山帯の落葉広葉樹林で繁殖し、冬は温暖地域に移動し公園などに現れます。ミミズやカミキリムシの幼虫や木の実を食べますが、近年、減少傾向にあるようです。ところで、トラツグミは夜に、「ヒーツ、ヒーツ」と口笛のような声で鳴きますが、この声が不気味ということで、架空の鳥「鵺(ヌエ)」の鳴き声とされ、そのために、逆にヌエとも呼ばれています。

【2005年1月10日(月)】
○一夜堤付近でヤマシギを見たとの情報が寄せられました。ヤマシギは体長34cm位で、ハトよりは大きく、カラスよりは小さい鳥です。本州より北の低山帯の林で繁殖し、冬は暖かい地方へ移動します。夜行性の鳥で、日中は林やヤブの中に潜んでいることが多いですが、湿地でエサを探すこともあるようです。嘴は黄褐色で真っ直ぐに長く先端が黒色で、頭部は白と黒の縞模様、目には直線でない過眼線があります。雌雄同色で、足も、首も短いずんぐりとした大型のシギです。大きな目が頭の両側に付いているので、360度ぐるっと周囲を見ることができます。そして、長い嘴を地面に差し込んで、ミミズや昆虫などを食べます。

【2005年1月8日(土)】
○センターの車庫のフェンスに絡みついているスイカズラが、直径5〜6mmのツヤツヤとした黒色の丸い実を付けています。半常緑のツル性の植物で、冬でも葉が完全に落葉せず、堪え忍んで少し葉を残すところから、忍冬(にんどう)とも呼ばれています。そして、このように忍耐力があるところが長寿にも通じると考えてか、スイカズラの茎葉を使って忍冬酒が作られています。昔、徳川家康も愛飲していたといわれており、家康の長寿と忍耐力にもあやかっているようです。また、漢方薬として、消毒、解熱の薬効もあるそうです。スイカズラは漢字で「吸い葛」と書きますが、蜜が多く、花の根元を吸うと甘いところからだそうです。花の咲き方から金銀花(きんぎんか)の別名もあります。

【2005年1月6日(木)】
○ちょつと古い情報で恐縮ですが昨年の12月26日に、こども公園へ向かう園路際で、14羽のイカルの群を見たという目撃情報がありました。イカルはスズメ目アトリ科に属し、体長23cmでムクドリ位の大きさの雌雄同色の留鳥です。大きな黄色の嘴、黒い覆面、翼の白い紋、それに長めの紺色の尾が特徴の大変綺麗な鳥です。鳴き声は、良く通る比較的柔らかい声で「キーコーキー」、「キョイキー」、「ヒーホーヒー」と様々に鳴きます。ヒキタ科のサンコウチョウという鳥はさえずりが、「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ」と聞こえるためついた名前ですが、このイカルの鳴き声も「ツキ、ヒ、ホシ」と聞こえるところから、三光鳥と呼ばれこともあります。また、エノキやヒマワリなどの固い実を大きな嘴で挟んで割って食べるところから豆まわし、豆ころがしとも呼ばれるそうです。なお、奈良の斑鳩(いかるが)の里は、昔イカルが沢山いたところから名付けられたと言われていますが、当時のイカルが現在のイカルと同じかは不明です。

【2005年1月4日(火)】
○新年、明けましておめでとうございます。昨年中は自然学習センター、北本自然観察公園を多くの方に御利用いただきありがとうございました。今年は酉年です。自然環境豊かなこの公園に、多くの野鳥などとの出会いを求めて訪れてみてはいかがですか。お待ちしております。ところで、新年といえば、縁起の良い初夢は「一富士、二鷹、三茄子」といいます。初夢ではありませんが、今年の元日は大晦日の雪も止み、雪景色の中で、荒川越しに富士山が良く見えました。今日は二番目のタカを見ました。年末はオオタカでしたが、今日はノスリが公園の上空を飛んでいました。三番目のナスについては、今夜でも縁起をかついで食することにしましょう。なお、センターの玄関前に、公園内の自然な材料(竹やマサキなど)を使って職員が手作りした門松を1対設置しました。平成17年も自然学習センターならびに北本自然観察公園をよろしくお願いいたします。

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