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北本自然観察公園 自然観察記録 2004年12月

2005年2月9日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2004年12月26日(日)】
○明日は休館日です。そして、28日は今年の仕事納めの日です。少々早いですが今日をもちまして、今年の自然観察記録の最後とさせていただきます。1年間ご覧いただきまして、まことにありがとうございました。来年も時期に即した観察記録をタイミング良くお伝えしたいと思います。しかしながら、冬の期間は動植物の動静も鈍く、情報不足に陥りがちです。おそらく隔日等間が空くと思います。恐縮ですが、あらかじめご承知おき願いたいと思います。ところで、オオタカがセンター上空で力強く羽ばたいていました。まるで来年度が良い年であることを祈念するようでした。来年が、皆様にとりましても良い年であることをお祈り申し上げます。

【2004年12月25日(土)】
○今日はクリスマスです。クリスマスといえば、飾りやケーキでお馴染みなのが、この時期に赤い実を付けるセイヨウヒイラギです。しかし、桜堤に通じる公園出入り口付近にある西洋ヒイラギには赤い実が付いておりません。暖冬の影響でしょうか、それとも葉に穴を開けるハムシ等の被害を受けたのでしょうか。一方、反対側の民家の生垣にはヒイラギがあります。ヒイラギは11月に白い小さな花を付けていました。一昔前までは、節分にヒイラギの枝に刺したイワシの頭を門口に掲げました。鋭いキョシが悪魔除けに効果があるといわれていたからです。ヒイラギも西洋ヒイラギも鋭いキョシが特徴ですが、ヒイラギはモクセイ科、セイヨウヒイラギはモチノキ科と同じ種類ではありません。

【2004年12月23日(木)】
○公園の上空をノスリが飛んでいるのを見ました。ノスリは全長54cm位で、草原などの開けた環境を好むタカの仲間です。トビよりも少し小さく、ずんぐりとした体形で、体の色は全体的に褐色で、ノドにある黒い模様と扇形をした尾羽が特徴です。ノネズミなどの小型哺乳類を空中から探索して捕食します。鳴き声は「ピーヨピーヨ」ですが、あまり鳴かないそうです。名前の由来は、韓国でタカを示す「スリ」と野原を好むということから「野に棲むタカ」と名付けられたいう説があります。バードウォッチャーでノスリを、「イヌワシのように大きくなく、ハヤブサのように精悍でもなく、オオタカのように少なくもなく、出会えればトビよりはうれしい」と評した人もいます。

【2004年12月22日(水)】
○公園内各所で、シロダモが冬芽を付けています。クスノキ科の常緑中高木で、高さは10〜15mといわれていますが、実際は数mのものが多いようです。本州から南西諸島に分布し、藪や湿地などに生育します。葉は3行脈が目立ち、大型で長さ8〜18cmです。葉の裏面は灰白色で、これが名前のシロの由来となっているようです。ダモは古代信仰の対象となった大きな木を霊(タマ)の木といい、それからタブ、ダモに変化したといわれています。そのため、別名はシロタブやウラジロダモといいます。秋に小さくて黄色い透明の花を付けます。そして、1年後には赤い実を付けます。枝や葉を傷つけると独特の香りがします。なお、野球のバットの材料となるアオダモは、モクセイ科の広葉樹でシロダモとは全く関係はありません。

【2004年12月21日(火)】
○公園内各所で、リュウノヒゲが花茎の先に瑠璃色(青紫色)の実を付けています。林地などの日陰に生えるユリ科の多年草で、高さ15cm程で、葉は細長く5mm前後、縁は触るとざらつき、裏側の白く見える筋が美しいです。瑠璃色に熟した実は果実のように見えますが、種子そのものです。果実の皮は非常に薄く、成長途中で弾けてしまい、種子は露出したまま成熟するからです。ある地方ではこの玉を「しんしん玉」と呼び、竹鉄砲の玉として使ったそうです。別名は、ジャノヒゲといいます。根は昔から咳止めなどに効く薬草「麦門冬」の原料として使用されますが、これは7月に紹介しました「オオバジャノヒゲ」と同じです。

【2004年12月19日(日)】
○標柱14から15へ向かう園路左側に、ビワが花を付けています。白い地味な花なので気づくのが遅れました。そのため、盛りを過ぎているようです。花はサクラの花に似ていますが、サクラのように綺麗ではありません。中国及び日本原産の果樹で、バラ科の常緑高木です。翌年の5月頃、甘い実を付けます。しかし、他の果樹に比べ実が付きにくく、「桃栗3年、柿8年、ビワは9年でなりかねる」の諺もあります。名前の由来は、葉の形が楽器の琵琶に似ているところから名付けられたといわれています。漢字では、「比波」と書くこともあります。葉は厚くて、堅いですが、薬用になります。関節の痛みに効用があるそうです。材は粘り強いので、木刀、杖、櫛、印材などに用いられます。

【2004年12月18日(土)】
○今日草原近くの雑木林で、エナガを見ました。体長13.5cm位で、丸っこい体に長い尾、短い嘴が特徴の白っぽい鳥です。雌雄同色です。日本では留鳥として、4亜種が九州以北に分布しています。なお、北海道だけに棲息する亜種シマエナガは、黒い過眼線がなく、頭部全体が雪のように白いのが特徴です。繁殖期以外は数羽で行動し、カラ類、メジロ、コゲラなどと混群を作ります。林の中の木々の間を飛び渡り、林の外へ出ることは少ないそうです。「チーチー」や「ツリリジュリリ」と鳴き、昆虫類を捕食したり、樹液を吸います。名前の由来は、長い尾をひしゃくの柄に準えたところからといわれています。

【2004年12月17日(金)】
○西部公民館へ通じる公園出入り口付近に、湧き水があり、公園内へ流れ込んでいます。北本市史によると2箇所となっていますが、先日確認したところ3箇所のように見えました。当公園一帯は谷津地といわれる地形から成り、緑豊かな斜面林と湧き水から成るかっての谷津田は、豊かな動植物のオアシスとなっています。そのため、公園内に流入する下水等の浄化対策を進める一方、今後とも貴重な湧き水を守っていくことが必要です。なお、公園内には、上記の湧き水の他、駐車場の奥にも2箇所あります。ところで、湧き水を確認に行った際に、湧き水付近一帯にオオイヌノフグリ、イヌガラシ、タネツケバナが花を付けていました。季節的には若干早いような気もします。暖冬等の影響でしょうか。

【2004年12月16日(木)】
○先日、自然学習指導員がトビが飛んでいるのを確認しました。トビは全長がオスは58.5cm、メスは一回り大きく68.5cm位の大型のタカの仲間です。翼も尾も大きいのですが、見た目よりも体重は軽いそうです。全身が黒褐色ですが、羽縁が淡色なので、体中に淡色斑があるように見えます。また、尾は三味線などを弾くときに使うバチ形に見えます。そして、翼を水平に保って飛ぶのが特徴です。九州以北に分布する留鳥で、漁村や山里などに棲息していますが、主に海岸や大きな河川のそばに多く、都会でも見かけることがあります。鋭い爪と嘴を持つ猛禽類ですが、あまり狩りをせず、動物の死体をエサとすることが多いようです。そのためか、カラスに馬鹿にされ、カラスの群れに追いかけられることもあるようです。そして、諺にも「トンビがタカを産む」とか「トンビにあぶらげをさらわれる」などあまり良いイメージはありません。ちなみにトンビはトビの別名です。「ピーヒョロ、ピーヒョロ」と鳴きますが、その声を聞くと、昔のテレビ番組「マグマ大使」の登場シーンが頭に浮かぶという人もいるようです。

【2004年12月15日(水)】
○今日、公園に来ているバードウォツチャーが、猛禽類に襲われたと思われる、鳥の羽を桜堤付近で見つけ、センターに届けてくれました。図鑑等で羽の特徴を調べたところ、コジュケイと推定されました。コジュケイは、ハトくらいの大きさのキジの仲間で、中国南東部を原産とする帰化鳥です。1919年頃東京都と神奈川県に放鳥され、以後自然繁殖をして、現在は留鳥として本州から九州の積雪の少ない地方に分布し、平地から山地の林、草地、農耕地、市街地などに棲息しています。ヤブの中などの生活が多いため、人の目にふれることはあまりないようです。胸から上は水色と赤茶色に分かれ、背中は茶色っぽいクリーム色で、赤茶色のうろこ模様があります。大きな声で、「ビッビョツクァイ」と連続して鳴きます。また「チョットコーイ」などと聞きなしされることもあります。

【2004年12月14日(火)】
○公園内を一巡すると、紅葉と枯れた植物が多くなり、すっかり冬の装いになっています。そんな中で、ひときわ目立つのがセイタカアワダチソウの枯れた穂です。遠くから見ると白い穂綿がまるで雪の塊のように見えます。秋には黄色の穂を付けていたのに季節の変化の早さを感じさせてくれます。ところで、セイタカアワダチソウは、花粉症の原因物質の一つとして嫌われていましたが、濡れ衣であったようです。セイタカアワダチソウは花粉を風に乗せてばらまく風媒花ではなく、ミツバチなどによつて運んでもらう虫媒花であるからです。しかし、一度付いた悪いイメージはなかなか脱却できないようです。花もよく見ると風情があり、法面緑化などにも使かわれてきましたが、「外来種」という問題点には変わりはありません。

【2004年12月12日(日)】
○先日、自然学習指導員が高尾の池付近の低木にアオサギが止まっているのを見たそうです。高木の樹上に営巣する習性があるので、樹に止まることは珍しくないですが、普段は池にいることが多いので観察していると、周りの樹に止まっいたカラスの群が盛んにアオサギを威嚇していたそうです。しかし、体の大きいアオサギは威嚇に屈せず堂々としていたそうです。アオサギは、体長90〜98cmで、眉班や翼角の青黒色が特徴です。鳴き声は「ギャー」という声であまり品がありません。待ち伏せや歩いたりして魚を捕らえますが、昆虫、両生類、甲殻類、小哺乳類なども食べます。通常は首を縮めていますが、エサを見つけると首を伸ばして、嘴ではさんだり、突き刺したりして捕らえます。幼鳥はぱっとしませんが、成鳥になると綺麗で壮観です。その姿に魅了される人もいるようです。なお、山下達郎が歌っている「ヘロン」とはこの鳥のことです。  

【2004年12月11日(土)】
○公園内各所で、秋には尾花として目を楽しませていたススキが、今や枯れススキの状態になっています。ススキは、イネ科の多年草で日本全国に分布しています。高さ1〜2mで、日当たりのよい荒地、土手、河原、草地などに生育します。秋の七草の一つで、秋の月見(中秋の名月)に添える花として欠かせません。その理由は、ススキが収穫物を悪霊から守り、翌年の豊作を祈願するからといわれています。また、ススキの命名については、ススとは葉が真っ直ぐにスクスク立ち、キは芽が萌え出でる意味の「萌(キ)」から付けられたとの説があります。別名を茅といいます。ススキは有用性に富んでいて、昔は、屋根材、炭俵用、家畜の飼料として使われたそうです。ところで、枯れススキというと、野口雨情作詞、中山晋平作曲の「船頭小唄」が頭に浮かびます。驚いたことに、この歌が演歌第一号だそうです。しかし、枯れススキのイメージ同様、何とも言えぬ暗い歌です。

【2004年12月10日(金)】
○今日、アシ原でアオジを見ました。アオジは体長が16cm位でスズメより少し大きいホオジロ科の鳥です。アオジといっても青い色の鳥ではありません。腹部の黄緑色が目立つ黄色っぽいスズメみたいな鳥です。よく見ると腹部が黄緑色、背部が褐色です。留鳥または漂鳥として、本州中部以北の山地で繁殖し、冬は南に移動し平地の藪や市街地の公園に下りてきます。藪や草むらで草の実などを食べ、夏には昆虫も食べるようです。アオジは普通に見ることができる鳥ですが、メジロやシジュウカラよりも見る機会は少ないようです。藪の中などで、チッチッと鳴き、激しく動きます。        

【2004年12月9日(木)】
○標柱2番近くにあるコナラが見事な紅葉を見せています。黄色から赤褐色に紅葉し、モミジには及びませんが、結構な美しさです。山地では、モミジは疎らにあることが多く、それに反してコナラはまとまっているものが多いので、山地の紅葉を表して「山が燃える」という言葉がありますが、平地の林の場合はコナラの群落の存在が不可欠です。コナラはブナ科の落葉性高木で、高さは15〜20mですが、大きいものは30mのものもあります。北海道から九州にかけて分布しています。コナラは伐採されても切り株から「ひこばえ」(萌芽)を形成して再生します。そのため、再生能力が高いことに注目して、薪炭林や雑木林の主要樹種となっています。

【2004年12月8日(水)】
○先日あずまや付近のアシ原で、アリスイを見たとの情報が届けられました。アリスイはキツツキの仲間で体長は18cm位です。他のキツツキと異なり尾は角形で、体は褐色と黒と灰色の複雑な虫食い状の斑模様、頭上から背の中央に走る黒線が目立ちます。生態も変わっていて、自分で巣穴をほらず、他のキツツキなどのあけた樹洞を利用して営巣します。また、他のキツツキのように幹に止まらずに、普通の鳥のように横枝に止まることが多いようです。アリを中心に昆虫やクモ類を採食しますが、好物のアリは卵から成虫まで長い舌を使い器用に捕食します。アリスイ(蟻吸)の名前の由来は、このあたりのようです。「キィーキィーキィー」という大きな声で鳴きます。

【2004年12月7日(火)】
○今日は二十四節季の一つである「大雪」です。そういえば、白く雪化粧した山も目立っきました。ところで、数日前に、自然学習指導員が草原のコナラの幹に止まっていたキノカワガを見つけ写真に撮りました。写真はホワイトボードに掲示してあります。キノカワガは成虫で冬を越しますが、自分の身を守るため周りの物に化ける擬態を行います。キノカワガは木の皮に化けます。そのため、木の幹にぴったり張り付いて静止していると、木の皮にしか見えません。食樹はカキなどですが、幼虫は鮮やかな緑色をしています。ヤガ科のガで、開張で38〜43mmの大きさです。北海道から九州に分布しています。漢字では木皮蛾と書きます。

【2004年12月5日(日)】
○センター西側の園路際に、ツバキがピンク色の花を咲かせています。日本原産の常緑小低木で本州から九州に分布しています。本来は春に咲き、春を告げる木というところから漢字では椿と書きます。ということは冬に咲くサザンカかと思いましたが、葉や実から判断してツバキのようです。そして樹高が2m以上あるので、おそらく寒椿ではなく、園芸品種のようです。ところで、ツバキとは園芸品種の名前で、野生のものはヤブツバキあるいはヤマツバキといいます。また、ツバキの語源は、厚葉木(葉が厚い木)、艶葉木(葉に艶がある木)だそうです。ツバキは16世紀にポルトガル人によってヨーロッパに伝えられ、人気を博し、現在でも好まれている花の一種ですが、江戸時代の武士には、ツバキの花は全体がポトリと落ちるところから、打ち首を連想するとして嫌われたそうです。

【2004年12月4日(土)】
○今日高尾の池で、オオホシハジロのメスが確認されました。アラスカからカナダ、北米中西部で繁殖し、米国南部からメキシコで越冬する海ガモで、日本は分布地域から離れているため目にする機会はあまりありません。時たま迷鳥が日本に現れるようです。当公園での確認例はありませんので、初確認です。ホシハジロよりも一回り大きく、体長は55cm位です。メスは全体が褐色で、腹は淡い灰色、白いアイリングが特徴、虹彩は暗褐色です。雑食性で、浅い湖沼で採餌し、水中に潜って水草などを食べます。ウイック、ウイックと鳴きます。この日だけでいなくなっていまいました。

【2004年12月3日(金)】
○公園内各所に、コセンダングサが黄色の花を咲かせています。当公園も冬の装いを見せ始め、紅葉や枯れ葉が目立っています。そんな中で小さい黄色の筒状花のみで、花としては決して派手でありませんが、なぜかインパクトを与えているのがコセンダングサです。熱帯アメリカ原産の帰化植物で、江戸時代に渡来しました。キク科の1年草で、関東以西に分布し、河川敷、荒地、空地などに群生しています。コセンダングサはセンダングサの小型版ということです。また、センダングサの名前の由来は葉がセンダン(白檀の別名)に似ているところからだそうです。なお、「たね」には刺があり、オナモミやイノコヅチ同様動物などに引っ付きます。

【2004年12月2日(木)】
○公園内の水辺で、ヨシが黄褐色の大きな円錐形の穂を付けています。ヨシは北海道から九州に分布し、高さ1m以上になる大型のイネ科の植物です。昔は強害雑草として嫌われていました。しかし、最近は湖辺の浸食防止、水鳥や魚の生息の場、さらには富栄養化の原因であるチッソやリンを除去する水質浄化にも役立つ優れものとして見直されるようになっています。なお、ヨシは多年草であるため、冬に地上部の茎や葉は枯れてしまいますが、地下茎は生きています。ヨシの語源は、青芝(アオシ)から稈(ハシ)に変化、別名はアシともいいますがアシは(悪し)に通じるとして、ヨシ(善し)に改められたそうです。また、有用性に富んでいて若芽は食用になるほか、消炎や利尿の薬効もあり、ヨシズの原料や屋根材にも使われます。

【2004年12月1日(水)】
○白い花を付けていたセンニンソウについては、9月に報告済ですが、今名前の由来とされる種子に付いた白銀色の羽毛が目立つています。この羽毛によつて種子は風で遠くに飛ばされます。そのため、繁殖力は旺盛です。センニンソウは花が終ると花柱が伸びて、白銀色の長い毛が密生します。そして、このそう果(種子)の先の花柱を仙人の髭あるいは白髪になぞらえてセンニンソウと命名されたそうです。センニンソウは茎や葉に触れるとかぶれを起こす有毒植物です。そのためか別名は、牛の歯こぼれ(ウシノハコボレ)といいます。一方、根は漢方では威霊仙(イレイセン)と呼び、利尿、鎮痛に薬効があるそうです。ところで、11月末よりミニ展示では「「たね」の旅」を展示中です。是非ご覧ください。

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